猩々とは、中国の想像上の動物で、人の姿をして赤い毛に覆われており、酒の神様として扱われていました。
また、みりんや焼酎も醸造し、特にみりんの「白鶴」は、海外の品評会にも出品され、数々の賞を得ていました。そして、明治後期の「白鶴」の広告文には、英語やフランス語でも紹介があり、豊倉の地が「Toyoaki-mura」と発音されていたそうです。
●酒を買うときに使う容器で、1升、
2升などの種類があります。
●豊倉「猩々」の酒瓶
「豊明市」の「豊」は、この豊倉の屋号が由来していると伝えられているほか、明治時代の「明」や、または宮中行事の「豊明かりの節会(とよあかりのせちえ)」の「豊明」から名付けられたともいわれています。
平成14年に豊明市立唐竹小学校の空き教室を利用してオープンした「豊明市歴史民俗資料室」には、豊倉酒造の様ざまな資料が保管されているほか、旧石器時代の遺跡出土品や桶狭間の戦いに関する資料も多数展示されています。
豊明市歴史民俗資料室
●開室時間:午前 10時 〜 午後4時 / 毎月第1 日曜日(1月は第2 日曜日)「今から1万8千年前頃には、すでにこの地域に人が居住していたと思われる痕跡が見つかっています。若王子池西岸の池底の遺跡よりナイフ形石器や、鏃(やじり)が多数出土されています。
また8世紀中頃以降の窯遺跡も多く発見されており、瀬戸と常滑を結ぶ窯業の盛んな地域であったとも考えられます」と、笑顔で語ってくれた文化財保護委員の鈴木兼幸さん。
「毎年、6月の第1土曜・日曜に行われるのが、桶狭間古戦場まつりです。武者行列や桶狭間の戦いの再現劇があり、500人ほどの隊列になります。毎年3万人くらいの観客で、まちが大賑わいになりますよ」と、楽しそうに語るのが歴史民俗資料調査研究会会長の相場眞規子さん。
また、豊明市で特にお薦めしたいお祭りが、毎年10月第2日曜日に大脇神明社祭礼として行われる「大脇の梯子獅子」だそうです。これは、約400年前から続く伝統芸能のひとつで、高さ12mの場所に組まれたやぐらの上で、2人の若者が勇壮な獅子舞を演じ、県指定無形民俗文化財に登録されています。
●大脇の梯子獅子
●桶狭間古戦場まつり
赤い花の咲くモウセンゴケ科の一年生食虫植物で、長い葉の表面にある腺毛から、甘い香りの粘液を分泌して、飛んでくる虫を捕らえ栄養分としています。豊明市には、全国的にも珍しいこの食虫植物が自生する保護地があり、昭和43年11月4日に「愛知県指定天然記念物」に認定されました。
そして、さらに平成25年、非常に珍しい赤花のナガバノイシモチソウが、日本固有の新種として発見され、学名を「Drosera toyoakensis M・ Watanabe」と名付けられました。保護活動を行なってきた豊明市と発見者である愛知教育大学の渡邊幹男教授の名前を冠しています。産地が極めて限られる稀種として特に貴重であり、保護地は1年に5日間だけ、一般公開されています。
「このナガバノイシモチソウの赤花は約1cmで、とても小さくて可憐な花を咲かせます。天気の晴れた午前中に咲いて、午後にはほとんど閉じてしまいます。文化財保護委員長の浅井先生や豊明高校の生徒さんや、愛知教育大学、藤田医科大学の学生さんら若い方々が保全活動に協力していただいております。
この素晴らしい環境を、次世代の子どもたちに伝えていきたいと地域・環境学習にも力をいれているところです」と、豊明市教育委員会の岸田裕夫主査は語ってくれました。
●豊明のナガバノイシモチソウ